2016年5月 9日 (月)

白輝(しろき) 若冲

前週の 広重 HIROSHIGE VIVID 展に続き
若冲展に行ってきた。
伊藤若冲の生誕300年を記念しての美術展でありながら
ひと月限りの、この世の楽園
主催者がいうとおり、4月22日から5月24日までの短期開催。
そもそも江戸期の絵師の中では五指に入る人気絵師のこと。
それが、ひと月限りの公開では人々が押し寄せ
その混乱の程は十二分に予想されるところであります。

果たして、入館待ち時間が80分!!
昨年、同じく上野の杜で開催された北斎展は90分だったと
諦めの気持ちで列に並ぶ。
入館しても音声ガイドを借りるのに並び展示室に。

展示を観たあと、ミュージアムショップでアレコレ物色するも
会計で並ぶのが煩わしく外に出た。
驚くことに、混乱を避け館外で販売されていた公式図録が完売。
希望者には後日宅配で届けると・・・
迷った末、若冲グッズを細々と買うより、図録一冊に決める。

6c10x40y198x158y138t84img_6233

さて、ここからが本題。
先週観た広重の作品で、私が印象に残った色は
水の藍色と、空(空間)を表す紅色でした。
その色遣いは VIVID と称するに相応しい色遣いです。

今回の若冲展で、私が若冲の作品を観るのは5回目か?
そこで、恥ずかしくも初めて知った若冲の白に驚嘆しました。
若冲の作品で秀を極める分野に鳥類の描写があります。
孔雀、鳳凰、鶴、鴛鴦、鶏、小鳥と挙げればキリがない。
もちろん風景画にも一見以上の価値があります。

その白。
例えば白梅の凛とした佇まいと、ぽってりした花の膨らみ。
雪片を細にわたり、あるいはシャボン玉のようにふっくらと。
鳥類の羽の輝きと、透かす細密さで。
時には境界線に、ひっそりと・・・
若冲独自の細かな筆遣いと相まって
その技量と感覚には溜息しか出ません。

一方、水墨画を描いては
ときに大胆な省略を配することで、観る者の眼が試される。
水墨画の大胆な筆致は、色彩画の細密な描写と対をなし
若冲が深く帰依した仏の道を歩む姿勢を表すか?

とにかく、急ぎご覧あれ!!

| | コメント (0)

2016年5月 7日 (土)

舐める広重

広重の作品に顕著なのは
手前に大きくモノを配し、その向こうに遠景を配する構図です。
これ下世話に申せば舐めるといいます。

口幅ったいのですが、私はこのナメの構図が好きで
写真では時々用います。
だからといって、私が撮る写真が広重並みとは申しません。

今回の初摺で遣われている色合いは
水を表現する藍色
空や空間を表現する紅色
そして、その間を繋ぐ淡い色合いが
時に絶妙なボカシで表現され
あるいは鮮烈な色遣いで表現され
観る者をして、あたかもその場に居るような感覚に誘います。

内容は不明ですが6月3日にTBSが名所江戸百景を紹介するようです。
CS放送は我が家で観られたかなぁ・・・

5c136x68y84img_6097

| | コメント (0)

初摺 広重

東京ミッドタウン内のサントリー美術館で
歌川広重の版画展をのぞいてきました。
本来なら前売り券を用意済みで、開催期間が一ヶ月しかない
若冲展を先に訪れるべきところ
新聞の紹介記事に誘われ広重展に転びました。

広重ビビッド 原安三郎コレクション で注目すべきは
広重晩年の代表作である名所江戸百景六十余州名所図会
それも初摺(しょずり)の中でも初期の作品を観られます。

現代の出版物でも初版本は珍重される傾向がありますが
所詮は活版印刷物のこと、初回印刷部数が少ない故の貴重さ。
それが版画の場合は稀有の貴重さを伴った作品です。

初摺では絵師が摺師に、色遣いや摺りの手法を細かく指示し
試し摺りを繰り返しで一点物を作りあげていくようです。
この初摺に対し、後日量産される摺り物を後摺(あとずり)と呼ぶそうです。
この初摺と後摺を比べるや、一目瞭然とはこのとこ。
後摺で遣われる色の数や、摺りの技が格段に減っています。

いま一つ、初摺で驚嘆したのは
摺られた版画に版木の木目が刷り込まれていることです。
これまで観た版画でも現われていたのかもしれませんが
初摺りを意識して初めて認識できたように思います。
また単に版木の木目が写し取られているだけでなく
その木目が作品に効果をもたらしていることです。

この広重展を訪れたのは、開催初めで大型連休の初日です。
そんな理由で人出は少なかったいうに思います。
作品の前で渋滞することもなくユックリ観賞できましたが
今後は混雑が予想されます。
空いている状態で3時間余りが観賞に費やされました。
ご覧になるならば、出来る限り時間に余裕を持たれることをすすめます。

3c33x48y84img_6074
写真の場所は、東京ミッドタウン内ですが、サントリー美術館とは関係ありません。

| | コメント (0)

2016年3月22日 (火)

東京国立近代美術館 工芸館

1910年(明治43年)、明治期の典型的な洋風レンガ建築は
軍の施設でありながら、近衛師団司令部庁舎である故か
武ばった印象よりも、むしろ瀟洒な佇まいをみせています。
5c228x218y160t84img_4955

1972年に重要文化財に指定されたのち修復され
1977年11月、東京国立美術館の工芸館として開館。
2c206x184y84img_4932

 

7c188x170y66img_4813

内装は大きく改修され、当時の面影を残すものは少ない。
玄関を入ってホールを抜けると、当時のままの階段。
3c171x137y130t84img_4925

階段から玄関側を望むと往時が偲ばれる。
3c185x166y127t84img_4916

3c48x58y145t66img_4930

5c43x67y197t88img_4960

その他の内部の様子は
去る18日の和らぐ灯りを参照ください。

| | コメント (0)

2016年1月26日 (火)

ここで一息いれましょう!

このブログでは、もう少し動物園の写真が続きます。
そこで、というのでもなく
息抜きの動物たちをご紹介して参りましょう。

ここは歌舞伎座に併設された、ギャラリーです。
歌舞伎愛好者ならずとも、
訪れると歌舞伎の魅力に引き込まれます。

歌舞伎に遣われる小道具や大道具。
あるいは衣裳などが展示されており、
擬似花道での記念撮影や、鳴り物打ちなどを体験できます。

さて、ほにほろと名付けられた道具。
3c22x59y147t84img_4274
現代に受け継がれている民謡踊りでも見られます。
役者が肩からさげた馬の張り子の馬。
歌舞伎では波間で争う武士の所作で遣われるようです。
江戸時代、張り子の馬を腰につけた飴売りが
「ほにほろほにほろ」街を売り歩いたことが始まりとか。

3c28x62y121t84img_4276
間近で見ると結構大きくて重そうです。

これは猪。
3c24x34y101t80img_4271
劇中では、きっと悪さをするのでしょうが
どことなく憎めない表情は、やはり芝居なるが故ですか?

歌舞伎で、馬は大きな役割を果たすようです。
3c289x48y144t84img_4281
これは役者さんが跨る馬です。
中に二人の役者さんが、それぞれ前足と後ろ足を担当。
跨る役者さんと息を合わせないと、芝居にならないとか。
細々な熟練の技が要求される存在です。

3c25x62y16x23y132t84img_4285
ここぞとばかり、跨って祈念撮影をされる見学者が絶えません。
が、和装の女性が「これ、跨れないわ!」との一言。
残念でしたね。
芝居をする馬の紹介映像で、花道を下がる馬が
勧進帳の弁慶よろしく、大見得を切って下がる姿には笑いました。

広く浅く歌舞伎の魅力の魅力に接することが出来るギャラリー。
一度訪れると、一幕見でも歌舞伎を覗きたくなることでしょう。
235x189y84img_3576

| | コメント (0)

2015年4月15日 (水)

ゴジラと七人の侍

2c95x108y139t66img_6315
東京・世田谷区の世田谷美術館に行った。
東宝スタジオ展 映画=創造の現場
    2015年2月21日~4月19日

その美術館は、世田谷区内の広大な公園の一隅にある。
染井吉野に満開宣言が出された途端
花散らしの雨や強風に襲われ、花の盛りが短く感じられた今年。
この日も朝からの雨で、櫻花を見るのは諦めていたが・・・
2c62x71y137t84img_6313

美術館では、日本映画界の至宝と明言して憚ることのない
七人の侍ゴジラ を題材に、
映画製作にまつわる資料が展示されていた。

エントランスには、ミニチュアの街並みに立つゴジラ。
3c20x30y146t66img_6299

やはり、その存在感は並みではない。
3c19x27y130t66img_6303

世田谷美術館の企画展に呼応したか
同じ世田谷区内の東宝スタジオの門前では
七人の侍とゴジラの大きなスチールが掲示されていた。
3c16x51y220x210y177t84img_6020

5c20x29y109t84img_6030

今週末の新宿・歌舞伎町では新設の映画館が開館し
その8階テラスにはゴジラの巨大な頭部が据えられる。
地上からの高さ52メートルは、映画に登場したゴジラと
同じ高さを想定したという。
まさに新宿の街を睥睨するゴジラの出現を演出したもので
ゴジラが口火を吐いたりする仕掛けがあるという。
映画館への集客効果と、
歌舞伎町のイメージ一新を期待されているとか・・・

| | コメント (0)

2014年8月29日 (金)

やっぱり、紙がいい!

トイレの話ではありません。
 (お食事中の方には申し訳ない)

Amazon が電子書籍の販売条件で出版社を格付け。
そんなニュース記事を読みました。
日頃からネットショッピングに疎いワタシ。
Amazonって、紙の書籍を売り出したのは知っていたが
電子書籍も販売していましたか!?
コレ、かなり時代遅れを認識しています。

子供のころ、毎朝届いた新聞を取りに行き
新聞紙に浸み込んだインクの香りを
胸いっぱいに吸い込んだ清々しさが忘れられず
今でも新聞を手にしたときの慣わしになっている。

新刊本を買ったときも同じ。
まっさらの新刊本を開いて、そこはかとなく香るインク。
反して、古本屋に入ったときに香る黴臭さを伴う本の数々。
読書は香りと共に在る、といって過言ではなかろう。

本を読み進めてもそうだ。
旨そうな料理が登場すると、香辛料タップリの料理を想い。
酒と紫煙と、男達の汗の匂いが漂う場末の酒場。
午睡から目覚め、さっきまで隣りに居た美女の残り香。
しかして左様に、読者の視覚と臭覚を刺激する本。
それらは、やはり紙の本でなければ体験できない妙味か。

面白い本を読み進み、残った頁の少なさを惜しみ
詰まらない本の、これから読まねばならぬ頁の多さを嘆く。
これも紙の本でしか味わえない読書の深遠。


閑話旧題

先のニュース記事は、Amazonの販売条件の押し付け。
お宅の電子書籍を売ったら、ウチにナンボ呉れます?
というハナシです。
バックマージンの額によって、格付けします。
高い格付けの出版社には、販売に関わる便宜を図ります。
そういう意味です。

ご町内で長く店を構える本屋さんが、経営が立ち行かないと
店仕舞いしたのは四半世紀を大きく越える昔でしょう?
店主の矜持にかけて選ばれた書籍が書棚で寂しげだった。
いま、果たして悪書は良書を駆逐するのか!?
ネット販売される書籍が悪書ではない。

しかし、電子書籍は
古い読書愛好者の愉しみを担保してくれるものかどうか・・・

本屋さん! スミマセン!!
もうちょっと立ち読みさせてください。

| | コメント (0)

2014年5月26日 (月)

赤い衝撃!

昨年、新装なった歌舞伎座。
通り掛かりで写真は撮りますが、入ったことはない。

一幕見・・・
芝居を通しでなく、一幕限りで大向うから観劇できる。
料金は手頃で、なかなか人気があるようです。
一度見てみたいと思うのですが、何となく敷居が高い。

新装の歌舞伎座の地下一階には
観劇客に限らず、歌舞伎座土産が買える店が並びます。
そこからエレベーターで五階の屋上庭園を観賞するのは無料。

屋上庭園から階段で一階下がると
往年の名優の写真や、歴代の歌舞伎座のレプリカを見られる。
その階に降りる階段がこれ。
歌舞伎色ともいうべき深紅に、何故か直に歌舞伎を観たくなる。

9c96x89y155t72img_8181

| | コメント (4)

2013年11月 7日 (木)

迎賓館 赤坂離宮 ~前庭公開~

夏、本館と四周の庭を公開した迎賓館・赤坂離宮。
秋は前庭の公開があった。

前庭というのは、どの範囲をいうのか。
夏に歩いた、本館前の石畳の庭のことだろうか?
それなら再び訪れることはないのだが・・・

3日間の公開の最終日、前回の曇天と違い
薄日が射す長閑な天気に誘われ、出掛けてみた。

もう一つ、入場が正門脇というのが魅力だ。
前回は足を踏み入れられなかった門庭を歩けたら・・・

7a3c139t68img_4402  正門前に着くと
 まさに正門脇の門扉が開いている。

 ここから入って                    黒松が144本植えられているという門庭を   歩けるわけです。
 少しばかり賓客気分を味わえますか?


7c225x224y147t72img_4401  向って左が入り口、右が出口です。

 今回の公開は事前の申し込み不要。      やはり参観者は多いようです。                                                       

3c76x90y147t72img_4407_2  ここに紀州徳川家の中屋敷があった頃
 江戸前の海が見渡せたのでしょうか?

 賓客を歓迎する噴水のサービス。                                                                      

5c54x74y135t72img_4468  門庭から庭門ごしに見る本館。
 前回は叶わなかったアングルです。



5c137t68img_4477  
 帰り際、正門の裏側を失礼しました。
 さすが、表に劣らず綺麗な裏側です。

                                                                                                  

7c26x37y148t72img_4479  逆光ですが

 陽射しを浴びた正面外柵を撮れました。

 

迎賓館・赤坂離宮に関しては、まだまだ書きたいことがありますが追々、書き足して参ります。

| | コメント (2)

2013年10月 5日 (土)

迎賓館 赤坂離宮 ~左右対称の章~

このシリーズの冒頭に登場した正面正門。
前回紹介した本館の正面。
いずれも真っ正直な左右対称の建造物である。

現代の、鉄とコンクリートと硝子から成る
どこから切り取っても金太郎飴に似た建造物には
遥かに及ばない威厳と気品をたたえている。

10年に及ぶ工事期間に、幾多の技術者、工芸家、工人が
この建造物に携わったことだろうか?

7c197x187y4r146t84img_3676
 その外観をみただけで
 工事の細密さを伺い知れる。

 

しかし、屋内の装飾は、芸術の領域のまで達しており
工事関係者の技量と矜持を存分に感じられる。

全体を花崗岩で造られた躯体の堅ろうさは
関東大震災に耐えた事実で証明され
一方で東京大空襲を生き抜いた幸運をも感じられる。

10c210x198y12r146t84img_3677  屋根には淡い蒼の
 細密で優雅な装飾が施され
 躯体とは違った魅力を放っている。


フランスのヴェルサイユ宮殿やルーブル宮殿を模し
更にはイギリスのバッキンガム宮殿に範を垂れたという
ネオ・バロック様式の洋風建築として
我が国の建造物では他に存在しない貴重な建物でもある。

 

10c220x204y5r130t72img_3684  
 鶴翼の陣に似た
 建物の左右がせり出した先端には
 正面入り口に通じる
 華麗な意匠が際だっている。




7c165x156y10r142t84img_3811  敷地の主庭と対峙する東面も
 左右対称の規則をまもり
 絶好の撮影ポイントでもある。


7c177x169y10r134t84img_3759
 そこには菊花の御紋章がみられ
 東宮御所である象徴ともなっている。


3a5c176x161y5r146t84img_3839  細部にわたって対称の細工がみられ
 この建造物に対する並々ならない
 思いを感じることが出来る。


7c190x170y10r163t70img_3700
 そして正面の入り口。
 3面ある真ん中には
 やはり菊花の御紋章。

 まるで西洋のカトリック教会の
 入り口を連想させる華麗さである。



迎賓館 赤坂離宮では、11月に前庭の公開が成される。
お近くで興味のある方は是非訪れることをお勧めします。

| | コメント (0)