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2018年9月 2日 (日)

改憲熱によるウワ言

報道によると、先日、安倍首相は地元の山口県で
改めて憲法9条の改憲を実現し責任を果たしたいと述べた。

安倍首相は、改憲の目的として自衛隊を憲法に明記し、
その存在の正当化を目指す持論を展開した。
その際、先の西日本豪雨で行方不明者の捜索や、
被災者支援にあたったことを紹介し、
黙々と献身的に任務を全うする彼らは日本国民の誇りだ
述べ、自衛隊違憲論を批判したという。
この人、一国の首相でありながら論議の本質が見えないのか?
否、理解した上で巧妙に改憲論議の論旨をすり替え、
論議の主題を隠蔽している。

日本国民は大きな災害が起きたとき、自衛隊の救援活動を願い、
黙々と任務を全うする姿を深く敬い、感謝の念を抱いてきた。
決して自衛隊の献身的な任務遂行を軽んじてはいない。
そのことと、自衛隊を海外の紛争地帯に派兵するのとは
全く次元の違う問題である。
被災地の人々の生命や苦難を人質にとり、
海外派兵の合法化を恣意的に論ずる目眩ましなぞ
断じて容認できるものではない。

憲法9条がある以上、如何なる場合においても
諸外国との問題解決に武力を行使するのは憲法違反だ。
従って、自衛隊は憲法に保障された存在ではない。
憲法9条を改め自衛隊の存在を合憲とするならば
戦力不保持の国是を放棄したと諸外国は見る。
日本は国際間の諸問題の解決に武力をもってあたると
諸外国に向け宣言するに等しいが
そこまでして現政権は改憲するのか?

これまで日本政府は、憲法9条を玉虫色に拡大解釈し
自衛隊の海外派兵は合法だと強弁してきた。
国連の平和維持活動いわゆるPKO活動に協力する際も
国民に十分な説明をせず、紛争地帯へと自衛隊を派遣した。
当時の小泉首相は「自衛隊が行くのだから、そこは安全だ」と
児戯に等しい屁理屈をこね、自動小銃を携えた自衛隊員の
派遣を強行した。
2016年の南スーダンにおける陸上自衛隊の宿営地では
施設9カ所に被弾し、25発の銃器の弾頭が見つかったが
それらを記録した自衛隊の内部文書は一時隠蔽された。
専守防衛が目的の自衛隊が、海外で紛争に巻き込まれ
自衛隊員の生命が脅かされたのは間違いない。

集団的自衛権という怪しげな概念のもと、自衛隊の
海外派兵は専守防衛の一環だとウソぶく。
自衛隊員の諸氏は、専守防衛に徹した自衛隊を目指したと思う。
故に怪しげな理屈をつけ、武装して海外に派遣される任務は
想定していなかったろう。
自衛隊員には国を護る覚悟はあろうが、集団的自衛権という
極めて曖昧な概念で海外に派遣されるなぞ晴天の霹靂だろう。
そこまでして現政権は改憲するのか?

最近、昭和天皇は晩年に戦争責任を深く感じておられたと
公開された側近の記録によって明らかにされた。
今上天皇は、先の戦争の犠牲者の慰霊に
多くのときを費やしてこられた。
海外の戦地跡で慰霊の祈りを捧げられる御姿を拝見したり
戦没者慰霊式で語られる御言葉には
心から戦争を反省され、平和を願っておられる真情があふれる。
にも関わらず、現政権党は今上天皇の真情を無視し、
その結果、懲りもせず繰り返す改憲への動きである。

自由民主党は憲法改定を党是としている以上
憲法改定案を国民の前に正しく提示するのは義務である。
その上で公正な論議を尽くすことこそ民主主義の真髄といえる。
政権党の党首選挙でありながら「おらがムラの選挙」よろしく
談合で選挙の趨勢を決するなど、国民を愚弄する暴挙である。
その多数の支持を背景に改憲を唱える。
改憲熱にうなされたウワ言と見過ごす訳にはいかない。

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