されど トースト
市場に働く人々は、食べものに目端が利くことでは人後に落ちないだろう。そんな目利きが集まる東京・築地市場に、トーストですら 食べ方にこだわる常連客が集まる喫茶店があるという。出される トーストは6枚切りだけだが、その食べ方が多岐に渡るのだとか。
トーストを半分に切って出す。いや3等分、4等分、6等分、8等分でなければ。あるいはバターを塗るとか塗らないとか、ジャムを全面に塗るとか半分だけ塗るとか。耳を落としたものしか食べないとか。 数え上げれば常連客の数だけ食べ方が有るといっても過言ではない。驚くのは、その食べ方の多さだけでなく、店の人間が全ての常連の好みを承知しているらしいこと。その好みの伝え方は符丁に近いようだ。毎朝、常連客と店とが符丁を交わすように好みを確認 している様子を想像するだけで楽しくなる。
トーストの限らず、あらゆる店で独自の食べ方を持っているのが 市場流らしい。また、そうした客達の好みに合わせてメニューを 変化させる店の心意気も嬉しい。これなら食の改ざんに当らないし。
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